バスの

運転手さんの話である。いつもの帰り道、志津駅から牛が窪までの団地巡回線バスに乗る。混雑はしていない。たまたま運転手の斜め後ろに座ることになった。少々痩せぎすの体型。顔は見えない。何故か観察している自分に気がついた。白い手袋をした細い腕がすっと直線的にシフトレバーに伸びる。グリップの上に手が差し掛かると、見事に人差し指と中指だけが伸び、グリップの天頂に立ち、手のひらは微動だにせず二本の指だけが軽く手前側に動いた。ギヤは音もなく入り車は発進した。その手はゆっくりと大きく円弧を描きながらハンドルにかかり、ゆっくりとした送りハンドルの動作で、バスは停留所を離れた。その美しい、舞踏会の足捌きのような動きを凝視していた。誰もそのような動きに見とれているものはいない。次に乗り合わせる楽しみが増えた。バスもまた楽しからずや。
家に着くと、頼んでいた日記が届いていた。厚さは昨年のものと変わらないが、日ごとの頁替えをしなかったのでミッチリ詰まっている。早速読み始めるが、妙に新鮮だ。やめられない。止まらない。先は永いので、無理矢理休止。一日の文章も、コメントの量も多いので読み応えがあります。
(佐自)