心の襞     作:西戸 崎(Saito Misaki)

(この作品は“吉田修一”さんの小説“パレード”をモチーフに創作したものです)


ぎらぎら照りつける 太陽
この部屋に入ると 熱を失った 紅い気球
一緒に暮らす 僕ら
つい先ほど前は 見も知らぬ 行き交う人


束縛もなく 詮索もなく 自由だ
だが青春という 実感はない
ただ ただ グレーな時間が流れてく


拾われた猫 拾った猫
きみは 友? きみは 恋人? きみは誰?
合宿 それとも 路上生活だろうか


失われたものは 何もない 初めから
リセットすれば 過去は消えてなくなるという
悪魔の天使 天使の悪魔 僕等の心には 襞(ひだ)がない。




こうこうと輝く 満月
この部屋に入ると 冷たい光が 心透かす
共に暮らす 私達
不思議だね わだかまりなく 話せるのは


疑いもなく 嫉妬もなく 自由だ
だが生きているという 実感はない
ただ ただ 白い時間が流れてく


拾われた猫 拾った猫
何のために? いつまで? 私を知ってる?
クラブ活動 それとも 檻の中だろうか


得られたものは 何もない 終わりまで
リセットすれば 新しい未来が始まるという
手を染めた 血の跡は 夢の中の出来事 目覚めれば消えている。


Copyright © Saito Misaki.All Rights Reserved.

創作のためのNote
最初から間違っていたんだろうか。
交差点で見も知らない人たちとすれ違いそのままに暮らし始める。
青春そのもののように自由に暮らしていた。
合宿のようであり、路上のようであり。
空気のように共に暮らす。
友であろうか、知り合いだろうか、それとも兄弟。
束縛もなく、詮索もなく
きみは誰、なぜ此処に
悪魔の天使 天使の悪魔
失われた心、破壊された心、いつ、何処で
悪夢のような現実も仮想の世界に映るゲーム
リセットすれば新たなゲームが始まる
苦しみのない理想の関係
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