カウンターパンチ(小説”ボックス”のテーマ)作:西戸 崎(Saito Misaki)


初めて訪れた時は 暗く 汗に蒸せるジム。
黙々と励む部員の中に ヘラヘラとした あなたがいた。
スパーリングのブザーが鳴ると 豹の目に変わる あなたがいた。
カウンターなど 嫌いだと ファイトを挑んだ。


そんなあなたが 羨ましかった そして憧れた。
わたしは 命 召し上げられるけれど。
生まれて 初めて 心から笑えた あなたのお陰で。
変わったねといわれた ビックリしたよといわれた。


わたしはいま あなたを見つめている。
部室に飾ってくれた 写真の中から。
あなたの鋭い ジャブが 私の心を 捉えたまま。
ありがとう みんな。
ありがとう あなた。




初めてあなたが倒れた 暗く 沈んだ瞳。
控え室で 先生が あなたを抱きしめて 泣いていた。
わたしは 少し嫉妬したけれど 叶えられる わたしではない。
あなたは 変わった 逞しくなった。


スパーリングで 親友を支える あなたが 美しい。
わたしは 命 召し上げられるけれど。
生まれて 初めて 明るい日々 あなたのお陰で。
大声で 声援を送ったとき 皆が驚いたね 面白かった。


わたしはいま あなたを見つめている。
好きだよと 何度も言った 答えは要らない。
いいじゃない 好きなんだから はっきり言うわ。
ありがとう あなた。
ありがとう みんな。




みんな卒業していったんだね わたしは まだ。
あなた達の頑張りで 多くの新入生が 入って来たよ。
部室に入るとき 写真のわたしに 挨拶するんだよ 恥ずかしいね。
あなた達の歴史 受け継がれて。


練習や選手権で 戦い 学んだことは 大きい。
母校を巣立っても 決して忘れない ファイト。
誇りを持って 強く生きる ファイト。
いつか きっとこの部室で 思い出を語り合おうね。


わたしはいま あなたに感謝している
好きだよといった言葉を スウェーで かわされても。
写真の前で 涙こぼしてくれたことを。
やっと返せた カウンターパンチ。
やっともらえた ストレートパンチ。


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注:この詩歌は、百田尚樹さんの小説”ボックス”をモチーフに創作したものです。


20時20分現在。仕事はますますやってきた。
今晩中には終わらないので、途中見切りをつけて明日に回そう。それも早く終えねば。明日の午後一に会議をしたいという。
明日は結構混乱するだろうな。
明後日は、千葉大検診でCTでの精密検査となる。14時過ぎの出社となるが、役員会の前ということで皆に迷惑をかけることになる。


今回の詩歌”ボックス”は、結構考え込んでしまった。どの視点からまとめようかについて。
試みている詩歌への挑戦で、面白いなと思うのは、主人公を変えることも出来るし、粗筋を説明してもしなくてもよく、自分なりの感動を伝えるポイントを新たに見出す作業が、とても面白いことだ。昨日考えていた歌の物語も、今日は全く新しい物語に塗り替えることが出来るなど、自由度が非常に大きい。


さあ、物語ってばかりいないで、仕事をせにゃ。


先週から毎日数ページずつ読んでいる硬い本