新入社員に贈る歌《螺旋階段》2016年     作:西戸 崎(Saito Misaki)


1.
ネジって知ってるかい
身の周りに幾つも使われてるあのネジのこと
一回しのピッチは小さいけれど
物と物をキュキュって合わせていく閉じていく


僕らの時計は毎日24回も回るけど
一年のピッチはあと50回も回れば社会人はもうお終いなんだ
早いのかはたまた遅いのだろうか
考え込むことはない、真っ直ぐに進めばそれで十分


螺旋階段、渦潮、竜巻、バネ、そしてボルト
似たものは幾つもあるね
登ったり降りたり
吸い込まれたり
跳ね飛ばされたり 絡んだり 様々だ


2.
昨日屋上で、日曜大工をしてね
古いネジを取り替えたんだ
錆び付いていて油を注してもビクともしない
自分のことのようで虚しくなった、もっと油を注してればね


僕らの毎日は365回も回るけど
一年のピッチはあと50回も回れば社会人はもうお終いなんだ
早いのかはたまた遅いのだろうか
考えちゃうね、グッと詰まったかい


螺旋階段、渦潮、竜巻、バネ、そしてボルト
似たものは幾つもあるね
登ったり降りたり
吸い込まれたり
跳ね飛ばされたり 絡んだり 様々だ


3.
螺旋階段って知ってるかい
同じところをくるくる登っているようで
けれど灯台を登るように少しずつ高くなってる
周りが見渡せて視界が広くなってる


君達の毎年はあと50回まるまるあるね
僕にはあと数回、けれど半径を大きくしようと思ってるんだ
少しでも高見に登って世間を見たい
もう考えてる時間もないしね。


螺旋階段、渦潮、竜巻、バネ、そしてボルト
似たものは幾つもあるね
登ったり降りたり
吸い込まれたり
跳ね飛ばされたり 絡んだり 人生そのものだよ。



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