再発に怯える人の手が 生の喜びと絶望の淵に彷徨う心の揺れに 手を合わせる残像強し。

7時半起床。天気曇り。目覚め快調。よく寝ました。およそ23時からだから8時間近く寝ている。
たまたま昨日買った”遠い太鼓”は、村上春樹さんがヨーロッパで3年暮らしたときの記録だという。この間に”ダンスダンスダンス”と”ノルウェイの森”を著わしたとあとがきに記してあった。村上春樹さんの著書とは、このような時間的進行が偶然にも重なっている。”遠い太鼓”では、読んだばかりの”ノルウェイの森”や”ダンスダンスダンス”の鮮烈な記憶と重ね合わせながら、旅の物語を味わってみよう。まだ始まったばかりの”ジョルジョとカルロ”の脳内ダンスダンスダンスの場面でしかないが。

今日の予定は、VP修正作業に没頭。予定。しかしまだ没頭できるほどの脳内光明はさしていない。我が頭にもジョルジョとカルロが住み着いているようだ。ブンッ。


13時20分現在。天気は快晴。リビングは暖かく、昼食のスパゲティを食べるには、とても似合った我家の風景である。すこし汗ばんできた。
午前中は、”遠い太鼓”をポツリポツリ読んでいる。ギリシャの小さな島の温かい風景がとても目に浮かび、今日の暑い日差しの中で読んでいると、自分がそこにいる気分になってくる。なにも深く思考することも無く、作家ののんびりした日常を見るのも、いや読むのもいい。特に、村上春樹さんのこの手のものは初めて出くわすのだが、”遠い太鼓”は、体中の凝りが解れ、ストレスが飛び、幸せな気分の中に誘い出してくれる。かなり分厚い文庫だが、この10倍くらいの厚さでも大歓迎だ。いいなぁ。
一方、このような静かで暖かい環境の中から”ノルウェイの森”が生まれたとすれば、作家の創造力というのは素晴らしいものだ。敬服に値する。

夕方、TVドキュメンタリー番組で”ガン患者学?”の著者柳原さんの壮絶なガンとの戦いの記録を見た。そこにはノンフィクション作家の目で捉えた冷静な対応の反面、苦しみと死の恐怖に怯える人の迷いがよく現れていた。今もなお、再発の連続との戦いを続けているとの事であるが、決してあきらめることなく戦い続けて欲しいものだ。患者が人間なのはもちろん、医者も人間なんだということを噛締めることができたが、心に残った言葉として、同氏が”医者は治せる患者への言葉は持っているが、治せない患者への言葉は持っていない”という意味の言葉を使ったことだ。