のぞみD席　　　　　作：西戸　崎（Saito Misaki）

あなたの気持ちを確かめるために　西へ向かった
いつもと違う　D席に座って
霊峰の頂が見えれば　結ばれる　そんな賭けをしたんだ
晴れの日を選んだんだが　都会を発てば　霞が空を覆う
のぞみは走り　景色は飛んでゆく
あまりに心騒がしく　疲れて眠ってしまったようだ
ふと目覚めれば　新富士を過ぎていく
広い裾野は　霞に被われ　だが　青空に突き出した　頂が見える
心晴れ晴れとする　自分がおかしい　久し振りに笑顔が戻る
のぞみが　ゆれる気持ちを運んでゆく。

あなたの気持ちは分かっているんだ　だが何故か狂おしい
そんな心を静めるために　A席に座った
初島が見えれば　心変わりはしていない　そんな賭けをしたんだ
晴れの日を選んだんだが　都会を発てば　涙が雨を誘う
のぞみは走り　景色は飛んでゆく
寝れない日々の苦しさが　一瞬の闇にさそう
ふと目覚めれば　熱海を過ぎていく
トンネルの切れ切れに　光る海に　初島が輝く
狂おしい心が　恥ずかしさに変わる　涙は乾き　窓に笑顔
のぞみが　ゆれる気持ちを運んでゆく。