幕が上がる     作:西戸 崎(Saito Misaki)


何度 挫けただろう 何度 唇を咬んだろう。
仕切りを巡って 罵り合ったこともある。
待ち望んだ お前の創った ステージが いま始まる。
緊張に包まれていた 蒼い手が キューを振る。
スルスルと幕が上がり 大きな拍手が 袖に響き渡る。


お前の頬に 漸くの赤みが差し 美しさが映える。
長い髪が リズムに揺れる。


挫けなくて よかったじゃないか。
こぼれた涙が ルージュを妖しく染めているぜ。



何度 挫けただろう 何度 唇を咬んだろう。
口だけ番長って 皮肉られもしたね。
ごらんよ お前の想いで 観客が 肩を組み歌ってるぜ。
熱く 燃えるような声が 会場を揺るがしている。
俺達も肩を組もう そして歌おう 結束の歌を。


お前の肩は 嬉しさに震え 俺を震わす。
長い髪が リズムに揺れる。


挫けなくて よかったじゃないか。
涙に濡れた お前の目が 明日を照らしている。

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