No.50 蘇えれ     作:西戸 崎(Saito Misaki)


なんだか 自分の気持ちが 納まらず
ガレージから引き出し 磨き始めた サビだらけのマシン。
赤茶けた オイルが おまえの涙。


可哀想に ボロボロに朽ち果てて。
惚れ込んで 飽きたら 捨て置くなんて。
中途半端な 俺が ここにもいた。


キックを踏めば 蘇える 俺とおまえ。
許される?
そんなことは 考えてもいない。
走ってみよう ひたすらに 昔のように。
飛び出せ!
行方は 運命(さだめ)に聞いてくれ。
おまえと俺の運命を。



格好つけてばかりの 自分に 苛立って
泥まみれになるために やってきた この荒野。
懐かしさが 目にしみる。


幾度 獣道へ 突っ込んだろう。
目の眩む 崖っぷちへ タイヤを落としたろう。
中途半端な 俺が 甦る。


ガムシャラに スロットルを 開け続けろ。
突っ走れ!
ゴーグルを濁らす 涙と汗。
歯をギリギリと 食いしばれ。
ねじ伏せろ!
このコーナーを回れば 未来が見える。
おまえと俺の未来が。

Copyright (C) Saito Misaki.All Rights Reserved.