素直な心が自分を救う

不安定で騒がしい心は、今日は少し治まっていた。
だがそれは、やや強引に心を押さえつけているせいだということも、一方の自分は分かっている。
今日の体調はすこぶる悪かった。だが、心をこのまま引き摺りながら休みに入れば、碌なことはない怠惰な自分と向かい合ってしまうことは分かっている。
何の気兼ねなく飲めるOさんに電話した。


結局、自分の現在のありようは、殆ど話さなかった。
しかし、重い口や態度がOさんに何かを感じさせたんだろう、今日のOさんの切り込みは鋭かった。
ぬるま湯の環境の中で、すっかりサラリーマンが身について右往左往している自分の挙動を見て取ったんだろう、自分は何をすべきか、どの様に心がけるかに話がおよんだ。
自分が沈としている間に、H社の広報宣伝はどうなっているんだと、厳しい指摘を受けてしまった。今は直接関係ないとは言えど、もっと出しゃばらないと、形ばかりの方向に行ってしまうよ、という指摘だ。痛いところを突かれたな。ちょっと出しゃばりを忘れているかも。相棒を見習わなくっちゃ。
いまの自分は、今の環境だけで右往左往。波に揺られ、やや船酔い加減。そんな様子が顔に出ているんだろうな。きっと。その姿を見て、ストレートではなく横道から指摘してくれたんだと思っている。
抗弁はしない。もっともなんだから。
そしてまた、その言葉に率直に反応し、問われる言葉の百倍を自分に問い返し、身も心も律して、明日からの、いや今からの自分を築き直そうとしている自分が、まだまだ健気で自信が持てる。
素直な心が、自分を救うのだとあらためて確信した。


わたしには、声を聞くだけで元気になる仲間がいる、見失った未来を思い起こさせ奮い立たせてくれる仲間がいる、傍にいるだけで落ち着く仲間がいる、笑顔を見るだけで忘れていた元気を取り戻させてくれる仲間がいる、道に迷っている自分を手を引いて導いてくれる仲間がいる、疲れた自分を後ろから押してくれる仲間がいる、時にはストレートパンチで正気に戻してくれる仲間もいる。
その仲間達に私が返せるものは、わたしの素直な心だ。明るい笑顔だ。
ありがとうという言葉と共に。