帰宅しました。
午後からは、久し振りのビッグサイトにいき、グループ会社の展示会を見て来ました。コンパクトに良くまとまっていたのではないでしょうか。


それは昨日のことでした。
11時に宝町に間に合うようにと電車の中のことでした。座席はまだ少し空きがある私の隣に学生の男子が、どかっと座りすぐさま足を投げ出しました。私は少々気に入らなくって、イラッとしておりました。通路の向こう側には、これも女子大生のような清楚な娘が座ってスマホを見ていました。
突然、清楚な子が鼻を押さえ俯きました。指の隙間から花血が滲み出し、娘さんは、バッグから片手でティッシュを取り出そうとしていますが上手くいきません。ティッシュを取り落としてしまいました。
私の隣の男子は、直ぐに立ち上がりティッシュを拾い上げ、数枚とって娘さんに渡し大丈夫ですか、と声をかけました。
娘さんは、ハイッと小さな声で答えましたが、血が止まる様子はありません。
これを見守っていた娘さんの列のお母さん達が数人立ち上がり、一人は濡れティッシュ、一人は首を抑えて上向きに、一人は娘さんが取り落とした他のものをバッグに詰め始めました。それから暫く娘さんの血が止まるまで面倒を見ていました。
娘さんは、本当に素朴な娘で、黙ってお母さん達の言うことを聞いてなすがままになっていました。血が止まった時に、今度は濡れティッシュで、顔の下半分が真っ赤に汚れた部分を、まるで化粧をしてあげるように、丁寧に優しく整え始めたではありませんか。
最後には、きれいきれいと言って、娘さんが降りていくのを見守っていました。最後には、娘さんに男子への挨拶をするようにと、彼の方に手を指すのです。娘さんと、男子は、恥ずかしそうにペコリ。双方、とても美しい顔でした。
何も出来なかった自分の情けなさは兎も角、男子への見方も変わりお母さん達への称賛も湧いてきました。
捨てたもんじゃないぞ、人間って。


2100現在。
帰りしな、地元の書店に寄って来た。Twitterでフォローしている書店だ。山頭火の句集が入ったという案内があったので調達してきた。ついでに例の椎名誠さんを探したが無い。来週の千葉大の帰りに三省堂に寄ってみるか。
山頭火の句で好きなのは、
『分け入っても分け入っても青い山』
と言うものだ。流転の旅の空の下、果てしない山に分け入っていたのだろう。救われるのは青いという表現だ。


70.4⚪