博多行2008年8月

8月のある日、大阪出張の足を伸ばして博多行となった。
夕暮れの新大阪をのぞみで発ち、暮れなずむ景色を味わいながら西へ向かう心地よさ。
ふるさとが1秒1秒近づいて来る、このワクワク感は何とも言えない。
東京新大阪間の2時間半に比べ、同じ時間ではあるが、景色を楽しめる分あっという間についてしまう感じがする。
20時前に、博多駅についてタクシーを飛ばしホテルにチェックインを済ませ、待たせたタクシーで天神へ向かう。
ラピーヌには、中学の同級生が5人待っていた。
互いの人生を語り、これからを誓い、深夜に及んで話に花が咲く、いい思い出の時をすごした。
翌日は、懐かしき大濠公園と西公園を散歩した。
大濠公園は、ボートハウスなどに瀟洒なレストランが併設されており、綺麗になっていた。散歩を楽しむ人も多く、恋人達や夫婦連れ、あるいは小さな子供達を遊ばせる家族連れなど、長閑であり賑わっていた。スワンのボートも繁盛しており、時折子供達の歓声が上がって風に吹かれて聞こえてくる。
中道のベンチに腰掛けて、煙草をくゆらすと、真夏日であるが涼やかな風が心地よい。景色を見ながらボーっとした時間が実に豊かな気にさせてくれた。一人旅でこんなに落ち着いた気分になるのは、ついぞあっただろうか。いつも慌しく、何かに急かされた様で、落ち着きのない旅をしていたんだろうな、きっと。
思い立って、西公園まで足を伸ばそう。
そんな気になったのも、気分がよかったからだろう。
大濠公園から僅かな距離で西公園の上り口となる。ここは、人影もなくひっそりとした、たたずまいだった。
豪華なマンションが立ち並び、高級住宅街とでも言えるのだろう。
大昔親父に連れられてきたことのある水炊の”新三浦”がここら辺にあったんだが、と探すが、あるのは大きなマンションだった。
こんな細い道だったかと思うような坂道を上り詰めると、光雲神社に行き当たった。こんな神社があったんだろうか。思い出せない。昔はくねくねとした回り道で展望台に行ったような気がしていたんだが。
折角だから神社にお参りをする。黒田の殿様を祭ってあるとのこと。社務所で優しいおばさんに聞いた話だ。名品の鈴のお守りを買ったんだ。芽がでるとのこと。
展望台までの脇道は、木々に囲まれたうっそうとした森を抜けていく。小さなトンネルを抜けたら展望台だった。
展望台に立つと、博多湾が一望できる。すぐ下には高速道路が走っていて音が煩かったが、志賀島を目指して走る通い船が、ジェット高速船なんだろう、横に大きな白波を立てて走っている。実に青くて綺麗な海だ。
こんな博多を見たかったんだ。いい思い出になった。
ついでに、ごま鯖もいい味だったことを記しておかねば。
次は、博多での”半島を出よ”の旅だ。